今回は会社の相続についてお話しします。
ご自身が会社経営されている場合や、お父様、お母様が事業をされているなど少し参考にされてください。
とは言え、会社の相続はケースバイケースで複雑なうえ、相続税にもからんできますので、この章では概要をお話しします。
会社は法人と個人事業主に大きく二つに分かれます。
法人の会社とひと言で言っても特に相続については色々な会社形態があります。
それぞれのケースごとにトラブルが生じないような処理手続が求められます。
個人事業主が亡くなった場合
個人事業を営んでいる人が亡くなった場合は、自然人の相続と基本的には同じ方法での手続きとなります。
従って、死亡した時点でその会社は終了となります。
一般的に相続といえば、亡くなった故人の預金や不動産などを相続人が分割して承継するということになります。
故人が生前に事業を営んでいた場合は会社形態によって相続処理そのものが変わってきます。
事案によってはかなり複雑になることもあるので、例えば親が会社経営をしている場合は相続することについて事前に基本的な知識をつけておくことが望まれます。
会社とは、法律上の存在である法人として扱われることが一般的です。
法人とは、法律によって認められ、自らが権利や義務を持ち、契約を締結し、訴訟を起こすことができる法的に人格のある存在です。
このように、会社は法人格を持ち個人とは異なる法的な実体として扱われるため、会社の財産については亡くなった人(被相続人)のものとは判断されず、相続対象とはなりません。
この点が人格のある法人の特長です。
従って、
個人事業主は相続の対象となります。
法人の場合は株式の相続で経営権を獲得することになります。
「会社を相続する」ということはできず、被相続人の役員の地位も相続することはできません。
では、法人の会社を相続するとはどのようなものでしょうか。
1.相続による自社株を取得する(経営権の相続)
親が経営していた法人の事業を引き継いで運営していく場合、相続で大切なことは前項で述べたように会社の経営権を相続することです。
株式の過半数を保有することで、事業を行う役員を選任するなど必要な経営権を確保することができるため、遺産分割では事業を引き継ぐ者が発行株式の議決権の過半数を保有できるように調整することになります。
会社の事業目的を変えるなどの定款変更や合併など組織を改編していくなど重要な行為をする場合には、発行株式の議決権の3分の2が必要です。
2.株式を名義変更する
親が所有する自社株を相続したら、その株式の名義変更を行います。
株主名簿に記載された人物でなければ株主としての権利行使ができないので、持っているだけではダメです。相続後は、株主名簿の書き換えを速やかに行いましょう。
3.役員の地位を確保する
株式を保有しただけではまだ役員としての地位はありませんので、株主総会を開いて役員の地位を取得しなければなりません。
総会で代表取締役の地位を得たら、これを登記することで名実ともに会社を引き継いだことになります。
ただし、実際には他にも次のような細かな手続きが必要になります。
法人の銀行口座の代表者の変更
社会保険関係の代表者変更
許認可事業にかかる代表者の変更
取引先へのお知らせ
ほか・・・
株式の相続税評価の出し方について
会社の相続で最初に必要な株式の取得のときに相続税のことも考えなければなりません。
相続税の課税対象になる株式については、相続税評価を行っていく必要があります。
会社の相続では、株式が市場で取引されている上場株式なのか、取引相場のない非上場株式なのかによって評価方法が変わります。
取引相場のない非上場株式の場合、評価方法が複雑になります。一般的にはこのケースが殆どです。
評価方法は、大きくわけて原則的評価方式と特例的評価方式の2つの手段があります。
原則的評価方式は純資産価額方式、または同方式と類似業種比準方式の併用による方法があり、特例的評価方式は配当還元方式によって評価されることになります。
実際の評価計算は難しく、専門家に計算して算出してもらいましょう。
以上、今回は会社の相続についてお話ししました。とてもややこしくて難しい課題ですね・・・
ご相談ください。一緒に解決していきましょう。
他人事では無い相続の問題です。
早めに準備を・・・
私の信条は、「親身になって、心でお話を聞く」こと。
思いきって相談に来たけど、話を聞いてもらったらホッとした、来てよかった!と喜んで頂いています。
相続手続きは複雑で深刻な問題です。
特に、戸籍の集め方や相続の手続きが解らない場合、専門家のアドバイスを受けることが重要です。
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