この先、安心して暮らせる方法は有りませんか?
80歳になるおひとり暮らしの女性からのご相談です。
「夫に先立たれて5年が経ちました。子どもたちは独立して遠くに住んでいます。
最近、物忘れが増えているような気がして何かと不安です。
安心して暮らすために、何か良い方法は有りませんか?
有ります!安心してください。
今回は、任意後見についてお話しします。
考えてみて下さい。
もし、自宅で急に倒れたときに誰に、どうやって助けを呼びますか?
「ボケたら、よろしく!」と言える人が近くにいたら…、と思いませんか?
認知症になってからでは、自分の意思で様々な契約は出来ません。
病気になり手術や入院にも「本人の同意」が必要です。
そのサポートが後見人です。
ただ、任意後見の契約時や、認知症になった時のことが不安になるとおっしゃる方が多いのが現実です。
そんな方におすすめなのが任意後見契約です。
とは言え、この契約をする時にすでに認知症になっていた場合、どの様にするか。
家庭裁判所で法定後見人を探してもらうしかありません。
この時の法定後見人は、身内、即ち親戚はなれませんので、自分とは利害関係やが無く面識のない、知らない士業の人になってもらう事が多いのです。
幾ら士業の人で信用が有るとはいえ、見ず知らずの人に法定後見人になってもらうのは抵抗がる人も少なくありません。
ならば、自分を見てくれる後見人は前もって自分で決める、と思いませんか?
それが任意後見人契約なのです。
お1人様の場合、任意後見契約を済ましておけば、万が一ボケてきても安心。
ただ、それだけではまかきれない部分があるので、追加しておきたい契約があります。
それは、財産管理契約です。
自分が希望する人や法人に財産管理を頼める契約です。
しかし、お1人様の場合は判断能力が低下する前、つまり、任意後見契約が発効する前に、体力的な理由などで財産管理をして欲しい、と思う方が多く、この希望を叶えるには別の契約を追加しておく必要があります。
足が悪くて出かけられないから銀行でお金を下ろしてきて欲しいとか、ありそうですよね。
具体的にはどのような契約を追加する必要がありそうでしょうか?
整理してみます。
任意後見契約をするまえに、じっくりと誰になってもらうかを検討しましょう!
契約に追加しておきたいものは、
1 見守り契約:元気なうちに万が一に備えて契約します。見守り契約でその士業の「人がらを判断」します。合わなけれは断れば良いのです。一般的な契約は、月に1回の訪問や連絡、随時悩み事相談や様々な生活サポートなど、あなただけの「オーダーメイド契約」です。
2 財産管理等委任契約:判断能力が劣ってきそう、と思ったらこの契約をします。
3 死後事務委任契約:もしもの時のことを予め打合せしておいてあなたのことを親戚に伝えたり相続全般を担う契約です。
4 遺言:子供たちが財産争いで揉めないようにするため、ご自身の大切な財産をどの様に次世代に引き継ぐかを「公正証書遺言」で作っておくと安心です。
もう少し詳しくお教えします。
見守り契約とは
1ヶ月に1回訪問する、電話で話すなどやメールで連絡を取り合うなど、見守りをする契約です。
この契約をしておかないといつ任貢献契約を発効させるべきなのかが分からなくなってしまいます。
確かに、お1人様暮らしの場合ですと具合が悪くなったことを誰かに知ってもらう必要がありますよね。
次に大切な契約として、
財産管理等委任契約
例えば、判断能力はあるけれど、足が悪くなったという場合などに銀行の手続きを代わりにしてほしい、とお願いしても、
この契約を結んでおかないと見守り契約だけだと金銭の出し入れさえも動くことができません。
これは念のために結んでおきたい契約です。
実際にこの契約を結んでおらず、とても苦労した、という任意後見人の話を聞いたことがあります。
死後事務委任契約
亡くなった後、葬儀や納骨のことを頼んでおける契約です。
遺言
契約ではないのですが、お1人様の方は書いてください。
残った財産をどうしたいのかを書き残しておかないと相続手続きが複雑になるため、周りの人に迷惑をかけたり揉めたりする場合があります。
この4つ全部必要そうですね。
実際、お1人様で任意後見契約をれる方は全部セットにされる方が多いです。
ただしフルセットの場合は費用もそれなりにかかります。
どれぐらいかかるんですか費用は契約書作成にかかる費用と継続的にかかる費用の2種類があります。
まずは契約所作成にかかる費用はフルセットで20万円から50万円程度が目安です。
継続的にかかる費用とは見守り契約財産管理等委任契約、任意後見契約の月額料金です。
具体例をお話しします。
費用のイメージ(参考例)
見守りがスタートすると月額約1万円がかかります。
例えば、数年後足が悪くなりました。銀行へも行けなくなり、不安です。
この時に見守り契約から財産管理等委任契約に切り替えます。
そうすると、月額2万円がかかります。
数年が経ち判断能力が低下した時点で任意後見契約に切り替わります。
ここで月額3万円プラス後見監督人の報酬が月額1万円。合計4万円がかかることになります。
この月額4万円はお亡くなりになるまで続いていくことになります。
死後事務と遺言は継続的にかかる費用ではありません。
この流れはあくまでも一例です。
任意後見を頼む相手によって費用は様々です。
実際に費用支払い続けることが出来るかどうかを相談者の士業と話し合いましょう。
遺言書をありがとう!